「フラット35で借りられるのは8,000万円まで。残りは頭金や別のローンで用意するしかない」。都内で1億円前後の物件を検討し、そこで手が止まっていた方は少なくないはずです。2026年度のフラット35は、この上限そのものが見直されました。固定金利への借換を考えている方にとっても、子育てプラスや借入期間の面で見直しがあります。
この記事でわかること
- 融資限度額 — 8,000万円から1億2,000万円へ
- 床面積要件 — 一戸建て等は70㎡以上から50㎡以上へ
- 借換・新制度 — 子育てプラスが使え、借入期間の基準も延長。残価設定型ローンの保険も創設
融資限度額が8,000万円から1億2,000万円に
今回の見直しは、2025年11月閣議決定の総合経済対策を受け、国土交通省と住宅金融支援機構が2025年12月23日に発表したものです。柱となるのが、融資限度額の8,000万円→1億2,000万円への引き上げです。住宅金融支援機構の案内では、2026年4月以降の資金実行分(融資金が実際に支払われる分)から適用されています。これまでは8,000万円を超える部分を、頭金や民間ローンとの組み合わせで用意する必要がありました。
一戸建て等の床面積要件が50㎡以上に緩和
一戸建て住宅等の床面積の下限は、70㎡以上から50㎡以上に引き下げられました。2026年4月以降の物件検査(フラット35の基準に合うか確認する検査)の申込分が対象です。マンション等の共同建ては30㎡以上のままです。都市部に多い、敷地の限られたコンパクトな一戸建ても対象に入りやすくなります。これまで70㎡に届かず対象外だった一戸建ても、50㎡以上であれば候補に入ります。なお住宅ローン控除の床面積要件はフラット35とは別に定められており、同じ基準ではありません。
上限が上がっても、借りられる額は別に決まる
限度額の引き上げで、たとえば1億円の物件でもフラット35だけで組み立てられる余地が広がりました。ただし、借りられる額は建設費・購入価額の100%以内に限られます。さらに、総返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)にも基準があり、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下です。上限が上がったことと、実際にいくら借りられるかは分けて考えましょう。
借入額が1億円を超える場合に団体信用生命保険(団信:返済中の万一に備える保険)への加入を希望するときは、2026年4月1日以降、団信の申込手続きを改めて行う必要があります。早めに取扱金融機関へ確認しておきましょう。
借換でも「フラット35子育てプラス」が使え、借入期間の基準も延びた
フラット35子育てプラスは、子育て世帯または若年夫婦世帯を対象に、こどもの人数等に応じて当初5年間の借入金利を引き下げる制度です。引下げ幅は、若年夫婦世帯またはこども1人で年0.25%、こども2人で年0.50%、こども3人で年0.75%です。これまでは新規の借入でしか使えませんでしたが、2026年3月以降の資金実行分から、借換融資でも利用できるようになりました。ただし、予算額に達すると受付が終了する場合があります。また、借換前から子育てプラスを利用していた場合は、借換後に利用できないケースもあります。
借換の借入期間の上限は、次の3つのうち最も短い年数です。今回、②で使う基準年数が35年から40年に延びました(2026年3月以降の資金実行分)。
- ①「80歳−借換申込時の年齢」
- ②「40年−住宅取得時に借りたローンの経過年数」
- ③「35年」
年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。長期優良住宅等は従来どおり50年のままです。②の基準年数が延びたことで、返済済みの年数が長い人ほど上限は長くなりますが、期間が延びれば総返済額は増える点も比べて判断しましょう。
返済負担を抑える「残価設定型住宅ローン」を保険で後押し
もうひとつの新制度が、残価設定型住宅ローンの普及支援です。将来の住宅の残存価値(残価)をあらかじめ見込み、借入額から残価を差し引いた金額を返済していく仕組みです(残価部分は最後にまとめて精算します)。月々の返済負担を軽くしやすいのが特徴です。
この商品はフラット35そのものではなく、民間金融機関の住宅ローンです。住宅金融支援機構は2026年3月31日、住宅融資保険を活用した「特定残価設定ローン保険」を創設し、民間金融機関がこのローンを提供しやすくなりました。残価部分は死亡時や住替え時などに住宅を売却して一括返済するのが基本で、売却額が残価部分を下回っても差額は請求されない仕組み(ノンリコース型)です。
保険制度はできたものの、2026年9月30日時点で取扱いを始めた金融機関はまだありません。残価の算定方法や金利・売却条件は、今後の取扱金融機関ごとの商品内容で決まります。
まとめ
| 変更点 | 適用開始 |
|---|---|
| 融資限度額 8,000万円→1億2,000万円 | 2026年4月以降の資金実行分 |
| 一戸建て等の床面積 70㎡以上→50㎡以上 | 2026年4月以降の物件検査申込分 |
| 借換で子育てプラスが利用可能に | 2026年3月以降の資金実行分 |
| 残価設定型住宅ローンの保険制度創設 | 2026年3月31日に創設 |
✅ いま確認しておく3点
- 借りたい額が購入価額や年収に見合っているか(上限が上がっても審査基準は別にあります)
- 検討中の一戸建てが床面積50㎡以上か(マンション等は30㎡以上のまま)
- 借換なら、子育てプラスの対象になるかと、見直し後に選べる借入期間はどれくらいか
固定金利で返済額を確定させたい方にとって、フラット35は1億円前後の物件や借換でも選びやすくなりました。ただし、実際に借りられる額や借換後の条件は人によって異なります。最新の金利・審査条件や残価設定型ローンの取扱状況は、住宅金融支援機構や各金融機関の案内で確認し、判断に迷うときは次の無料相談もご活用ください。
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