
人生で初めてマイホームを購入するのは、大きな決断であり不安も多いものです。
特に東京都の不動産市場は価格も高くエリアごとの特徴も様々なため、何から始めればいいのか戸惑う方も多いでしょう。
本ガイドでは、不動産購入の基本的な流れから初めての購入で押さえておきたいポイントまでをやさしく解説します。
東京都全域(23区+郊外市部)を前提に、都心部と郊外それぞれの特徴や価格帯、生活環境、通勤の利便性の違いにも触れながら、初めての不動産購入をしっかりサポートします。
難しい専門用語もできるだけかみ砕いて説明しますので、これから不動産購入を検討する方はぜひ参考にしてください。
それでは、具体的に不動産購入の基本ステップから見ていきましょう。
東京都の不動産市場の特徴(都心部 vs 郊外)
東京都でマイホームを探す際には、エリアによる環境や価格の違いを知っておくことが重要です。同じ東京都内でも、23区の都心エリアと23区外の郊外エリア(多摩地域の市部など)では物件価格や暮らしの様子が大きく異なります。ここでは都心部と郊外それぞれの特徴を比較してみましょう。
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物件価格の相場
東京都心の物件価格は非常に高額です。例えば2024年には東京23区内の新築マンション平均価格が約1億1,181万円に達し、23区外(東京都下)の平均約5,890万円の2倍近くに上りました。中古市場でも23区の平均価格(約8,985万円)は郊外の平均(約4,880万円)の約2倍と大きな差があります。さらに23区内でも、都心3区(千代田区・中央区・港区)などは特に高く、江戸川区・葛飾区・足立区など郊外寄りの区は比較的手頃と、区ごとに価格帯に開きがあります。
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住環境と広さ
都心部は商業施設や会社が集まり便利な反面、同じ予算でも取得できる住まいの広さは限られがちです。当然ながら土地やマンションの坪単価が高いため、都心では「同じ予算なら狭い部屋で我慢」になりやすいでしょう。一方、郊外に行けば広い土地や延床面積を確保しやすく、庭付き一戸建てなどゆとりある住まいも選択肢に入ります。緑が多く静かな環境で「ゆったりと自然に囲まれた暮らし」を実現できるのは郊外の大きな魅力です。ただしその反面、郊外では都市部ほどインフラや生活利便施設が充実していない地域もあり、不便に感じる場面も出てくるでしょう。
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通勤・交通の利便性
都心部は主要駅が密集し多数の路線が乗り入れているため、職場や繁華街へのアクセスが良好です。朝早くから夜遅くまで電車やバスが頻繁に運行しており、日常の移動に車がなくても困りません。一方、郊外では最寄り駅から職場までの通勤時間が1時間以上かかるケースも珍しくありません。都心から離れるほど電車の本数が少なくなったり乗り換えが増えたりするため、通勤の負担はどうしても大きくなります。それでも「多少通勤時間が長くても広い家に住みたい」と郊外で家を購入する方は多く、実際に郊外から1時間以上かけて通勤している人の約8割は現在の住環境に満足しているとの調査結果もあります。通勤の快適さと住環境のバランスを見て、自分に合ったエリアを選ぶことが大切です。
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生活コストと将来の資産性
郊外で暮らす場合、生活コスト面でいくつか注意点があります。公共交通が少ない地域では車が必需品になることもあり、その場合はガソリン代・メンテナンス費・保険料・駐車場代など車関連の出費が家計に加わります。また都心に比べスーパーや病院などが少ないエリアでは、日々の買い物や子育てにおいて不便を感じるかもしれません。さらに物件の資産価値という面でも、一般的に都心の不動産は需要が高く値崩れしにくい傾向がありますが、郊外物件は将来的に値下がりしやすいとも言われます。将来売却や資産活用を視野に入れるなら、郊外であってもできるだけ良い立地を選ぶなどリセールバリューも考慮すると良いでしょう。
不動産購入の基本ステップ(購入の流れ)
初めての不動産購入では、全体の流れを把握しておくことが大切です。ここでは物件探し開始から引き渡しまでの基本的なステップを順を追って紹介します(※売買契約から引き渡し完了まで平均で1か月程度かかるのが一般的です)。
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購入目的・希望条件の整理
まずは「なぜ家を買うのか」「どんな家が欲しいのか」を明確にします。将来のライフプランを見据えて、エリアや間取り、広さ、築年数、通勤・通学などの条件を洗い出しましょう。世田谷区内で検討する場合、「絶対に譲れない条件」(駅からの距離や学区など)も書き出しておくとエリア選定の助けになります。また現在の貯蓄額や毎月の収支から大まかな予算感も掴んでおきます。長く住む家ですから、希望条件は将来のライフスタイル変化も考慮して設定することが大切です。
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資金計画を立て住宅ローン事前審査
希望条件と概算予算が見えたら、具体的な資金計画に進みます。自己資金(頭金として出せる額)や毎月無理なく返済できるローン返済額を算出し、購入にかかる諸費用も含めた総予算を確認しましょう。不動産購入には物件価格以外に、仲介手数料、登記費用、税金、保険料、引っ越し費用など様々な費用が発生します。こうした諸費用も含め、手持ち資金で足りるか、いくら借りる必要があるか計画します。準備ができたら金融機関で住宅ローンの事前審査(仮審査)を受けましょう。事前審査は通常数日~1週間ほどで結果が出ます。万一審査に落ちてしまう場合もあるので、心配な方は複数の銀行に同時に申し込むこともできます。
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物件情報収集と内見(見学)
資金計画と仮審査のメドが立ったら、いよいよ希望条件に合う物件を探します。不動産情報サイトや不動産会社の紹介を活用して、世田谷区内の気になる物件をピックアップしましょう。候補が見つかったら実際に内見(現地見学)を行います。周辺環境や日当たり、騒音状況など現地でしか分からない点をチェックしましょう。特に中古物件の場合は建物の傷み具合や管理状況、耐震性なども確認が必要です。世田谷区のように地域ごとの雰囲気が異なるエリアでは、平日と休日、昼と夜で街の様子が変わることもあります。できれば時間帯や曜日を変えて複数回見学し、納得してから次のステップに進むことをおすすめします。
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購入申込と買付交渉
購入したい物件が見つかったら、売主側に対して「購入申込」(買付証明)の提出を行います。これは正式契約の前に「この物件をこの価格で購入したい」という意思表示をする手続きです。通常、不動産会社を通じて不動産購入申込書を記入・提出し、同時に少額の申込金(申込証拠金)を預けるケースがあります。申込金は契約時の手付金や初期費用に充当されることも多いです。購入申込を出すと、売主との間で価格や条件の交渉が行われます。場合によっては指値交渉(値下げ交渉)や引き渡し時期の調整なども発生します。条件がまとまれば、いよいよ契約手続きへと進みます。
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重要事項説明・不動産売買契約
売買契約の締結前には、不動産会社の宅地建物取引士(国家資格者)による重要事項説明を受けます。重要事項説明では、物件の権利関係や法的規制、設備の状況など契約前に知っておくべき事項が書面で詳しく説明されます。疑問点があれば遠慮せず確認しましょう。その後、買主・売主双方で不動産売買契約書に署名・捺印し契約成立となります。契約時には物件代金の一部を手付金として支払うのが一般的です(通常は物件価格の5~10%程度)。手付金は契約の証拠金であり、契約後に買主都合でキャンセルする場合は原則この手付金を放棄(没収)することで解約可能となります。手付金は基本的に現金で用意する必要があるため、高額になりますが事前に準備しておきましょう。
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住宅ローン本審査・正式契約
売買契約が無事締結できたら、速やかに住宅ローンの本申込みを行います。事前審査に通っていても、本審査では年収や勤務先、健康状態、購入物件の担保評価など詳細なチェックが行われ、通常1~3週間程度の審査期間を要します。本審査に通過したら銀行との金銭消費貸借契約(ローン契約)を結びます。ローン契約の手続きは平日しかできないケースも多いので、休暇の調整も必要です。
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残代金の決済・物件引き渡し
ローン契約後、いよいよ物件の引き渡しです。決済日当日、買主は銀行から融資実行された残代金を売主に支払い、同時に司法書士立会いのもとで所有権移転登記などの手続きを行います。鍵の受け取りが完了すれば物件の引き渡しとなり、晴れて新居のオーナーになれます。おめでとうございます!🎉 引き渡し後には、不動産取得税の納付(取得後数か月以内)や固定資産税・都市計画税の支払い(毎年)など、購入後の手続きや費用も発生します。これらも忘れずに対応しましょう。
初めて購入する際に押さえておきたいポイント
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資金計画は余裕を持って
購入にかかる総費用をできるだけ正確に把握しましょう。物件価格以外に諸費用(仲介手数料・登記費用・印紙税・火災保険料など)や税金(不動産取得税など)が発生します。諸費用は物件価格の5~10%程度になることもあります。例えば仲介手数料は仲介物件の場合に不動産会社へ支払う費用で、一般的な上限は「物件価格の3%+6万円+消費税」です(※3000万円の物件なら約96万円)。このほか契約時の印紙代やローン手数料、引っ越し代、新居の家具家電購入費なども考慮し、余裕を持った予算を組んでください。
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新築 vs 中古を予算に応じ検討
世田谷区でマイホーム取得を目指す場合、新築物件にこだわるか中古物件も選択肢に入れるかで予算の現実性が変わります。前述の通り世田谷区の新築マンション平均価格は1億円超と高額ですが、中古マンションなら平均約5,600万円と手が届きやすい水準です。新築の魅力(最新設備・保証など)と中古のメリット(価格が安く希望エリアに見つけやすい等)を比較し、自分の予算と希望に合った選択をしましょう。中古を購入してリノベーションするという手もあります。その際は築年数や修繕履歴を確認し、大規模修繕の必要性も含めた価格妥当性を判断することが重要です。
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信頼できる不動産会社選び
初めての購入では、不動産会社(エージェント)は心強いパートナーです。世田谷区で検討しているなら、地域密着型の不動産会社を選ぶのも一つの手です。地元の情報に詳しい業者であれば、そのエリア特有の市場動向や未公開物件情報を持っている場合もあり、有利な取引につながります。また担当者の知識や対応も大切なポイントです。初めての購入で不安が多いことを汲み取り、契約まで丁寧にプロセスを説明してくれる担当者だと安心できます。最近は仲介手数料無料や割引サービスを掲げる会社もありますが、手数料の有無だけでなくサービス内容も比較検討しましょう。契約後のアフターフォローが充実している会社だと、入居後に何かあった場合も相談できるので長期的に心強いです。
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物件のチェックポイント
内見時には物件そのものだけでなく、周辺環境もしっかり確認しましょう。日当たりや騒音、隣家との距離、街の雰囲気などは現地で感じ取ることが大事です。特に世田谷区は閑静な住宅街が多い反面、場所によっては夜は人通りが少なくなるエリアもあります。昼と夜、平日と休日で環境がどう変わるか、可能であれば時間帯を変えて訪問してみてください。中古物件の場合は室内や建物の状態(雨漏り跡がないか、設備の不具合、耐震補強の有無など)も細かくチェックします。またマンションなら管理状況や修繕積立金の状況、戸建てなら地盤や周辺の防災情報(ハザードマップの確認)も要確認ポイントです。「分からないことは遠慮せず質問」し、納得できるまで確認する姿勢が大切です。
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契約内容とスケジュールの最終確認
いざ購入の意思を固めても、最後にもう一度確認すべき事項があります。契約書や重要事項説明書の内容は隅々までチェックし、不明点は納得いくまで説明を受けましょう。特に支払いスケジュールや引き渡し日程、契約解除に関する取り決め(ローン特約の有無や違約金条件など)は重要です。世田谷区の物件は人気が高く競争もありますが、急かされても焦らず、重要書類に目を通す時間をきちんと取りましょう。契約前の最終段階では、もう一度現地や周辺環境を自分の目で確認することもおすすめします。「思っていたのと違う…」という後悔を防ぐためにも、契約直前に冷静にチェックを行ってください。
まとめ
初めての不動産購入では分からないことだらけかもしれませんが、基本的な流れとポイント、そして東京都内のエリア特性を把握しておくことでグッと安心できるはずです。本記事では、購入手続きのステップや初心者が気を付けるべき点に加え、東京都心と郊外の違いについて解説しました。
東京都全域でマイホームを検討する場合、都心の利便性と郊外のゆとり、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて自分に合ったエリア選びをすることが重要です。資金計画やローン、物件選びにおいて困ったときは無理せず専門家や不動産のプロに相談し、信頼できる情報を集めながら進めましょう。
人生における大きな一歩となるマイホーム購入が、納得のいく良い選択となるよう願っています。さあ、基本を押さえた今、一歩ずつ理想の住まい探しを始めてみましょう!