
不動産の売却は、人生で何度も経験することではありません。初めてマイホームや土地を売却するとなると、多くの人が「何から始めればいいの?」と不安に感じるものです。しかし売却の全体像や流れを事前に理解しておけば、予想外のトラブルや損失を防ぎ、安心して売却を進めることができます。本記事では、不動産売却の基本的な流れを初心者向けにわかりやすく解説し、よくある失敗例への注意喚起も交えて紹介します。流れを把握することで心に余裕が生まれ、落ち着いて売却活動に臨めるでしょう。
この記事でわかること
- 売却方法の選択肢 – 仲介と買取の違いとメリット・デメリット
- 売却の7つのステップ – 準備から引渡しまでの詳細な流れ
- 各段階での注意点 – 相場調査、査定、契約、交渉のポイント
- 初心者の失敗パターン – よくある4つの落とし穴と対策
- HomeLinQのサービス特徴 – 直接売買、併用可能性、安心サポート
売却の一連の流れをしっかり把握して、満足のいく取引を実現しましょう。
不動産売却の大きな選択肢
不動産を売却する方法には大きく分けて2通りあります。それは、不動産会社に買主探しを仲介してもらう「仲介」による方法と、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう「買取」という方法です。多くの方は市場で買主を見つける仲介を選びますが、物件や状況によっては買取を選ぶケースもあります。
📊 仲介 vs 買取の比較
項目 | 仲介 | 買取 |
---|---|---|
買主 | 一般の個人 | 不動産会社 |
売却期間 | 通常3ヶ月前後 | 早ければ1ヶ月程度 |
成約価格 | 市場相場に近い水準 | 相場の6~8割程度 |
適用場面 | 高く売りたい・時間に余裕 | 早期現金化・売りにくい物件 |
「少しでも高く売りたい」「時間に余裕がある」場合は仲介で買主を探すのが適しており、「とにかく早く現金化したい」「なかなか買い手が付きにくい物件だ」という場合には不動産会社による買取も選択肢となります。それぞれメリット・デメリットがありますが、本記事では多くの人が選ぶ仲介で売却する場合の流れに焦点を当てて解説します。
不動産売却の基本的な流れ(仲介ベース)
仲介による不動産売却は、以下のような7つのステップで進みます。一つずつ順を追って見ていきましょう。
🗂️ 売却の7ステップ
売却準備・相場調査
必要書類の準備
周辺相場の調査
住宅ローン残債の確認
査定依頼と価格の目安
複数社への査定依頼
簡易査定から訪問査定へ
査定額と根拠の確認
媒介契約の締結
契約種類の選択
仲介手数料の確認
販売方針の取り決め
販売活動の開始
レインズ登録・広告掲載
内覧準備・物件整備
購入希望者対応
購入希望者との交渉
価格・条件交渉
内覧対応・質問回答
契約条件の調整
売買契約の締結
重要事項説明
契約書署名・押印
手付金の受領
引渡し・決済
残代金の受領
所有権移転登記
鍵の引渡し・取引完了
STEP1. 売却準備・相場調査
まずは売却の事前準備として、自分の不動産がどのくらいの価格で売れそうか相場を調べることから始めます。周辺の類似物件が過去にいくらで売れたかを把握するために、国土交通省監督のデータベース(レインズのマーケット情報や不動産取引価格情報サイトなど)で成約事例を調べるとよいでしょう。
✅ 準備段階のポイント
相場調査の重要性
相場を知っておけば、不動産会社から極端に低い価格を提示されても見抜けますし、逆に高すぎる希望額で市場に出して時間を無駄にするリスクも減らせます。また、住宅ローンの残債がある場合は残高証明書などで正確な残高を確認し、売却代金で完済できるかシミュレーションしておきます。
必要書類の整理
必要書類(権利証や測量図、購入時の契約書類など)の整理も早めに取りかかりましょう。事前準備をしっかり行うことで、この後の査定や販売活動がスムーズになります。
STEP2. 査定依頼と価格の目安
相場感を掴んだら、信頼できそうな不動産会社に査定を依頼して具体的な価格の目安を出してもらいましょう。査定は基本的に無料で行ってもらえます。1社だけでなく複数(できれば3社以上)の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額や担当者の対応を比較するのがポイントです。
📋 査定の種類と特徴
査定方法の選択
査定には、机上で物件データだけをもとに算出する「簡易査定(机上査定)」と、実際に担当者が物件を訪れて詳細に評価する「訪問査定」があります。まずは簡易査定でおおよその金額を知り、もっと正確に知りたいと思った段階で訪問査定へ進むのが一般的です。
⚠️ 査定時の注意点
査定額だけで判断しない
なお、査定額はあくまで目安であり、実際の売出価格は売主の事情や市場動向も踏まえて決めることになります。ここで注意したいのは、提示された査定額だけで安易に仲介会社を決めてしまわないことです。根拠のない高額査定に惑わされず、信頼できる担当者かどうかを総合的に判断しましょう。
STEP3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定を依頼した複数社の中から、「ここに任せたい」という不動産会社を選んだら、その会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却活動を正式に依頼するための契約で、売却が成立した際に支払う仲介手数料の額や販売活動の方針などが取り決められます。
📝 媒介契約の種類
契約種類 | 複数社依頼 | 自己発見取引 | 報告義務 |
---|---|---|---|
一般媒介 | 可能 | 可能 | なし |
専任媒介 | 不可 | 可能 | 2週間に1回 |
専属専任媒介 | 不可 | 不可 | 1週間に1回 |
契約選択のポイント
それぞれ契約の自由度や報告義務等が異なるため、自分の状況や希望に合わせて選びます。例えば、一般媒介は複数社に依頼でき自由度が高い反面、どの会社も優先度が下がる傾向があります。専任媒介は1社に絞る分手厚いフォローが期待できますが、専属専任媒介では自己発見取引が禁止される代わりに、より迅速で透明性の高い販売活動が担保されます。契約前に各媒介契約の特徴を理解しておくことが重要です。
STEP4. 販売活動の開始
媒介契約を締結したら、いよいよ不動産会社と二人三脚で販売活動を始めます。売却活動に入る前に、売主として自分の要望を整理しておくと良いでしょう。たとえば「いつまでに売りたいか」「希望の価格と売却時期、優先するのはどちらか」「広告方法に希望はあるか」「内覧対応でやってほしくないことは?」といった点を事前に担当者に伝えておくと、戦略を立てやすくなります。
✅ 販売活動の内容
不動産会社の活動
販売活動ではまず、不動産会社が物件の魅力やターゲット層を踏まえて販売戦略を立てます。戦略に沿って広告媒体への掲載やチラシ配布、同社顧客への案内など広告活動も開始されます。具体的には、指定流通機構のデータベース(レインズ)への登録、各種不動産ポータルサイトへの物件掲載、自社ホームページや店舗での広告、ポスティングなど多彩な方法で買い手を探します。
売主側の準備
売主側でできることとしては、問い合わせや内覧の希望が来たときのために物件の見せ方を整えることです。室内はできるだけ整理整頓・清掃して清潔に保ち、いつ見学希望者が来ても良い状態にしておきます。当日は全室の電気をつけて明るく見せたり、来客用スリッパを用意するなど細かな気配りも好印象につながります。
STEP5. 購入希望者との交渉
広告の効果もあり購入を検討したい人が現れたら、内覧(現地見学)を経て買主候補との交渉に入ります。まずは価格や条件面について、売主・買主の双方が納得できる着地点を探ります。不動産会社が仲介役となり、以下のような事項を調整するのが一般的です。
🤝 主な交渉項目
- 売買価格(いくらで売買するか)
- 手付金の額(契約時に買主から支払う保証金)
- 引渡し時期(いつ残金決済して物件を引き渡すか)
- 物件の設備や瑕疵の修繕(雨漏り修理など売主負担で直すのか)
- 土地の実測(土地面積の確定測量を誰が行うか)など
交渉成功のコツ
交渉で一番多いのはやはり値下げ交渉でしょう。スムーズに話を進めるには、事前に譲れる条件・譲れない条件を整理しておくことが大切です。特に価格交渉では「絶対にこの金額以下では売れない」という最低ライン(ボトムライン)をあらかじめ決めておき、担当の不動産会社にも伝えて共有しておくと安心です。
STEP6. 売買契約の締結
お互いの希望条件が合意に至れば、売主・買主・不動産会社が一堂に会して売買契約の手続きに移ります。契約当日は、不動産会社の仲介のもと売主・買主が書類を交わします。
📋 契約締結の流れ
- 契約当事者・仲介業者の顔合わせ(自己紹介や雑談でリラックスします)
- 不動産会社による重要事項説明(宅地建物取引士の資格を持つ担当者が、物件や契約上の重要な事項を読み上げて説明)
- 売買契約書への署名・押印(契約内容を再確認し、署名捺印します)
- 手付金の支払い(買主から売主へ手付金を支払い)
- 仲介手数料の一部支払い(慣例的に仲介手数料の半額をここで支払うケースが多い)
重要事項説明と手付金
重要事項説明では物件の権利関係や設備の状態、契約条項などが細かく説明されます。不明点があれば必ずその場で確認しましょう。また、契約書の内容もすみずみまでチェックすることが重要です。売買契約が成立した段階で買主から支払われる手付金は、売買代金の一部であり、通常は売買価格の5~10%程度が設定されます。
STEP7. 引渡し・決済
契約後、あらかじめ取り決めた決済日(物件の引渡し日)になったら、いよいよ残代金の授受と物件の引渡しを行います。通常、この日に売主・買主・不動産会社の担当者、そして買主側の融資を担当する金融機関の担当者や司法書士が集まります。場所は買主の融資先金融機関の会議室などで行われることが多いです。
🏠 引渡し当日の流れ
決済と登記手続き
当日はまず、買主が売主に残代金(売買代金から手付金を除いた額)を支払います。同時に、売主は買主へ所有権移転の登記手続きを行いますが、実際の登記申請作業はあらかじめ依頼しておいた司法書士が代理で行います。売主に住宅ローンの残債がある場合は、この場で買主から受け取った残代金でローンを一括返済し、抵当権を抹消する手続きも司法書士にお願いする形です。
取引完了と諸費用精算
残代金の受領と登記関係が滞りなく完了したら、鍵を買主に引き渡します。これで物件の引渡しが完了し、取引は締結となります。引渡しが終わった後、売主は不動産会社へ残りの仲介手数料を支払い、司法書士への報酬や登記費用など諸費用も清算します。以上で売却の一連の手続きは終了です。
📋 売却後の税務手続き
確定申告の必要性
なお、自宅や土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、翌年に確定申告を行い譲渡所得税を納める必要があります。居住用財産には「3,000万円の特別控除」など税の特例もありますが、これを使っても課税対象になるケースでは売却した翌年の2月中旬~3月15日の期間に確定申告を忘れないようにしましょう。税金や手数料を差し引いた手取額(実際に手元に残る金額)も事前に試算しておくと、資金計画が立てやすく安心です。
初心者が失敗しやすいポイント
以上が基本的な流れですが、初めての売却では以下のような失敗例も起こりがちです。心当たりがないかチェックしておきましょう。
❌ よくある4つの失敗パターン
1. 査定額だけで仲介会社を選ぶ
ある会社が他社より極端に高い査定価格を提示してきても、安易に飛びついて契約するのは危険です。売却の依頼を取りたいがために相場とかけ離れた高値を伝えてくる業者も存在するので、提示額の根拠をよく確認し信頼できる会社を選ぶことが大事です。結局売れずに時間を浪費したり、後から大幅値下げを余儀なくされる例も少なくありません。
2. 媒介契約の違いを理解せず契約
一般・専任・専属専任の違いをよく分からないまま契約すると、「他の会社にも声をかけたいのに専属専任にしてしまい動けなくなった」「自分で買主を見つけたのに直接取引できずトラブルになった」などの後悔につながる恐れがあります。媒介契約によって、依頼できる会社の数や自分で買主を見つけた場合の扱い、報告義務の有無などが異なります。
3. 価格交渉を曖昧なまま進める
買主からの値下げ交渉や引渡し条件の相談に対し、言われるがまま応じてしまうのも初心者にありがちな失敗です。自分の中で最低希望額や譲歩できる条件を決めていないと、強気な交渉に押されて本当は納得できない条件で契約してしまうことがあります。特に売却スケジュールに余裕がないと足元を見られやすく、急いで話をまとめようとすると価格交渉の余地がなくなり不利な契約になるリスクも高まります。
4. 税金や諸費用を見落とす
売却代金がそのまま全額手に入るわけではありません。不動産売却では仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用、測量費用など様々な費用がかかり、利益が出れば譲渡所得税も課税されます。こうした諸費用を差し引いた手取金額を把握していないと、「思ったより現金が残らない!」と後で慌てることになりかねません。事前に税金・費用についてもしっかり確認し、必要なら税務の専門家に相談するようにしましょう。
HomeLinQで売却活動を行う場合
最後に、当サイト「HomeLinQ」を利用して売却する場合のポイントも補足します。HomeLinQでは基本的に上記の仲介フローに沿って提携不動産会社がサポートしますが、特徴的なサービスとして次のような選択肢があります。
🏠 HomeLinQの特徴的なサービス
直接売買の選択肢
- 仲介会社を介さない売主・買主の直接取引も可能
- 仲介手数料がかからない金銭的メリット
- ただし自己責任でのトラブル対応が必要
- 十分な知識と準備がある場合のみ推奨
既存契約との併用可能
- 一般媒介契約なら既存の仲介契約を解約せず併用可能
- 複数業者への依頼が認められている特性を活用
- 売主自身の買主発見(自己発見取引)も可能
- 現在の契約内容を確認しつつ上手に活用
信頼性の高い提携会社
- 業務提携した信頼性の高い不動産会社のみが参加
- 物件査定から契約段取りまで一貫対応
- 従来どおりの仲介サービスで安心取引
- 面倒な書類作成や調整ごともプロに任せられる
初心者への安心環境
- 「安全・安心な不動産取引」を最重視
- 分からないことは提携会社担当者に気軽に相談可能
- 必要に応じて対面でのフォローも受けられる
- 初めての売却でも専門家がサポートで心強い
まとめ
初めての不動産売却でも慌てず成功させるには、売却の一連の流れをしっかり把握することが何より重要です。売却には準備から引渡しまで様々な段階がありますが、一つ一つのステップを理解しながら進めていけば大丈夫です。今回解説した流れを頭に入れておけば、「今は何をすべきか、この後何が起こるか」が見通せるので不安も軽減されるはずです。
🎯 成功のための重要ポイント
流れの把握
7ステップの内容と順序を理解
信頼できるパートナー
不動産会社と担当者選びが最重要
失敗パターンの回避
よくある4つの落とし穴を事前認識
知識武装
疑問や不安をプロに相談
そしてもう一つ大切なのは、信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶことです。
プロのサポートを受ければ疑問や不安を相談しながら進められ、トラブルのない安心な不動産取引につながります。
不動産会社の力を借りつつ自分自身も知識武装することで、きっと満足のいく売却を実現できるでしょう。
ぜひ準備を万全にして、納得のいく不動産売却に挑んでください。